やまだ おさむのマンションコラム:「八軒長屋」
自立のススメ−外部委託の必要性

 先日、A地点からC地点までJRを利用し運賃は1,050円だった。用事も終わり少し雑談をしていると、相手先の人が「JRには特定区間という制度があって、A〜B・B〜C地点と切符を分割して買えば安くなるよ」と教えてくれた。調べてみると、540円+390円=930円で120円も安くなる。定期券ではもっと大きな差額になるだろう。JRも私鉄との競合上、戦略としてこういう運賃設定をとっていると思われる。

後日、切符売り場の上の運賃案内を探してみましたが、どこにも区間を分けた買い方など出ていませんでした。考えてみれば、JRにとって減収になるような二分割での切符の買い方を載せるはずもなく、しかし、制度はある訳です。利用者が賢くなって能動的に利用しないとこの特典は手に入らない。

転じて、マンション購入の場面に話を移します。事業主(ディペロッパー)もすべてのことをオープンにして「マンション」という商品を売っているわけではありません。上に書いた切符売り場の運賃案内ではないけれど、利益にならないことは自ら言わない。ディペロッパーの立場になって考えれば容易に分かることです。

私達のマンション購入シーンを眺めると、ディペロッパーが出してきたメニューに答えるという受動的な形で進んでいると言えませんか。契約会でも、内覧会でも、ディペロッパーが敷いたレールの上を「みんながやっているから私も」的に歩いていると言えないでしょうか。

統計によれば、首都圏で初めて住宅を取得する時にマンションを選ぶ割合は50%を越える、という結果も出ている事から分譲マンションは都市部を中心に重要な居住形態として定着しました。

その分譲マンションは、多数の世帯が区分所有によって一つの構造物に居住すると言う特殊な居住形態ということがあり、共有関係があることなど準公共的な要素を本質的に内包しています。

ディペロッパーは、「鍵ひとつで出かけられる」便利さを謳って売ります。管理費さえ払っておけば、管理会社を含めて誰かがやってくれるというイメージが私達にもあるのではないでしょうか。

分譲マンションと言う商品は、まぎれもなく入居後に管理組合の活動という負担付の商品です。そのことを、首記したJRの特定区間運賃と同じようにディペロッパーからアナウンスされることはまずありません。

ここに、自立した「かたち」で購入に臨む必要性が出てきます。

私達にとってマンション(住宅)はそのほとんどが借入れを伴なう唯一無二とも言える大きな費用をかける買い物です。それゆえに、過去の経験を次の買い物で生かすということがまず出来ません。しかも、取引相手は知識も経験も豊富な専門家であり、反対に購入者(消費者)は大変弱い立場にあります。

契約に詳しい弁護士でも、建築(商品のハード面)に関することについては不得手でしょう。建築が分る人には法律や金融・税金は疎いものです。不動産取引には浅いけれども広い知識を必要とします。それ故に、誰にも自分の守備範囲外のものが出てきます。世の中は自己責任を求める時代になってきています。

そこで、外部のサポートを使ってでも、自分の判断をより確かなものにする必要が今までに増して求められてきています。これを私は「外部委託の利用」と言いますが、昨今増えてきた超高層マンションを見るにつけ、ますます商品が高度化・複雑化してきています。

しかもいわゆる「青田売り」で、購入者が現物を見れない段階で物件を決めざるを得ない状況では、尚更、自分が持ち得ない範囲については何らかのサポートを多いに利用するべきです。これは何もマンション購入時点だけのものではなくて、入居後の管理組合の運営上でも同じです。

つまり、マンション居住や所有には「外部のサポートを利用する」ということが、これから一般的なことになってくると思います。それは、商品や建物の維持管理面での高度化・複雑化から出てくる必然的なものです。

分譲マンションの供給者であるディペロッパーは、乱暴な私見ですが、「売れば終わり」の舞台だけで活動しているところです。しかし、購入者にとって、手に入れた住宅は「生活のステージ」となるものです。売る側に比べれば、はるかに長いスパンを見通した上で購入を判断するべき商品であるはずです。

そんなものを、売れば終わりという世界だけのディペロッパーが出してくるメニューに答えるだけの買い方で良いはずがありません。もっと、買い方のレベルを私達自身が上げていこうではありませんか。

自立した購入者へのススメ。

YAMADA
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